版画家&ジュエリーアーティストSatico ONOが、
作品、アート、音楽などについてノンビリ綴ります。
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武相荘を訪ねる
さわやかな初夏の日に、
町田市にある武相荘に行ってきました。

武相荘(ブアイソウ)とは、
白洲次郎さんと白洲正子さん一家が住んでいたお宅のこと。
今は旧白洲邸として保存、一般公開されています。
武蔵と相模の間にあるこの土地に因んで、
そしてもうひとひねりしたいという気持ちから「無愛想」とかけて
次郎さんが「武相荘」と名づけられたそうです。



門と新緑がお出迎え




門の脇には、臼の郵便受け♪
「しんぶん」の文字と郵便マークはレリーフのように彫ってあります。




門をくぐって中へ。大きな柿の木。
後ろの建物1階は喫茶室になっています。




門すぐ隣の建物2階には、次郎さん・正子さんの年譜や縁の品々が展示してありました。
正子さんから次郎さんのお母様へ、
「次郎さんは天皇陛下からのお茶会の招待を、例のごとくすっぽかしました」
という内容のお手紙があり、思わずクスリ(^u^)




母屋にはウッドデッキ。
上が棚になっているので、もう少しすると蔦が絡まって日除けになるのかな。
次郎さん正子さんが、ここでリクライニグチェアで寛いでる写真がありましたが、
なんだかイギリスの田舎にいるみたいな雰囲気。
とにかく何事においてもハイカラでお洒落。




こちら母屋。
茅葺屋根がとても美しい!
初めて近くできちんと見ました。感激・・・。
2007年に葺き替えられたそうです。




下から見るとこの厚み。
床屋行きたての感じ。


母屋には正子さんが蒐集した骨董品などが並べられていました。
古墳時代の石臼が無造作に足元に置いてあってギョッとしたりして。
元々は牛を飼っていたという土間をタイル張りにして洋間として使用。
床暖房にしていたというから驚き。



母屋から裏手の庭に回り込む散策路。

左下にちょろっと写りこんでいる小さくて素朴な石塔の下には、
「葬式無用、戒名不要」という遺言をのこした
次郎さんの遺骨が納められているそうです。


次郎さん正子さんともに、
「これ!」と思ったモノへの情熱がスゴイ。
特に正子さんの歳を重ねても衰えない好奇心の強さは、
キラキラとチャーミングにうつりました。



*武相荘は小田急小田原線鶴川駅から、
ぷらぷら歩いて20分ぐらいのところにあります。
正面入口は、ユニクロを過ぎてすぐ左に入る道を少し上ったところです。
手前の道で曲がってしまうと、武相荘の裏口へ出てしまいます。
ここからは入れません。(ええ、アタクシ、間違えましたとも)
でも武相荘のお庭にうっそうと生える木々が見られて良かった、です。
(ちょっと強がり(^u^)


青空が似合う

ある晴れた日、東京現代美術館に行ってきました。

敷地内に見たことのない建物が。




これは、
「ブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト」
のパヴィリオンで、
ここで一年間色々なイベントや展示が行われるとのこと。
(ってことは一年後には撤去されちゃうのね)


設計は平田晃久さんという若手建築家







白い鉄板がパキパキと折れ曲がりながら楽しげに宙に突き出ていて、
青空とのコントラストがとてもきれいでした。





時代の気分と建築
最近、続けて建築展に行ってきました。
残念ながらすでに会期終了しているものばかりで、
おススメしたくても「オススメ!」と言えない・・・。

ワタシは建築の専門家ではないので、
ちゃんとしたレビューにはならないのですが、
感じたことをポツポツ。


森美術館「メタボリズムの未来都市展」




建築運動「メタボリズム」:
《1960年代の日本に未来の都市像を夢見て、
新しい思想を生み出した建築家たちがいました。
「メタボリズム」とは生物学用語で「新陳代謝」を意味します。
それは、環境にすばやく適応する生き物のように
次々と姿を変えながら増殖していく建築や都市のイメージでした。》
(森美術館HPより)

「メタボリズム」を提唱した代表的な建築家といえば、
丹下健三(広島ピースセンター、大阪万博、都庁、代々木体育館)、
菊竹清訓(スカイハウス、江戸東京博物館)、
槇文彦(スパイラル、ヒルサイドテラス)、
黒川紀章(中銀カプセルタワービル、新国立美術館)、
磯崎新(東京計画1960、ロサンゼルス現代美術館、水戸芸術館)。

建物知ってるし、行ったこと、見たことがあるって感じの巨匠たちです。


黒川紀章氏の中銀カプセルタワービル



戦後、復興した日本が高度経済成長期へ向かうエネルギー過多な時代の中で、
理想の都市を追い求める彼らの熱い想いをビシビシ感じる一方、
現実離れしたドラえもんの世界のような空中・水上都市計画が、
次々繰り出され、やや白けた気分に。

こんなのとか、(CGで再現したものと建築模型)


こんなのも。


この違和感、なんでだろうと考えてみると、、、

この時代の建築や都市計画って、
エコロジーとかサステナビリティが重視されていないんですよね。
メタボリズム=新陳代謝というより、
新陳廃棄かなと思える計画もありました。

エネルギー問題に敏感になっている現在、
維持するのにすご〜く電力を使いそうな、
環境に負担をかけそうな建築の提案が並ぶと、
だんだん不安になってくる。

でも当時の人たちは輝く未来をそこに見たでしょうし、
それは決して間違っていないんですよね。

一言でいえば、時代の変化ってことになるのでしょうか。
むむむ、一言で言っていいのかな。あたまぐるぐる。


建築家たちの夢と情熱がぎゅっと詰まった体温の高い建築展。
まだ考えることはたくさんありそうです。




建物探訪・ホキ美術館
 行こう行こうと思ってなかなか行けずじまいだった
ホキ美術館にようやく行ってきました。

ホキって・・・何?

ここは保木さんというコレクターが集めた写実絵画を展示している美術館なのです。
でも今回の目的は展示作品ではなく(保木さんゴメンナサイ)、
建築雑誌に掲載されていた美術館の写真が印象的だったので、
建物探訪に来たのでした。


場所は外房線土気駅(千葉市)からバスで5分ほど。
都心からだとちょっとした旅になります。

美術館は住宅街の中、昭和の森という広大な公園を背に建っていました。
高さが抑えられているせいか、周囲とそれほど違和感なく溶け込んでます。
美術館正面に駐車場があるせいか、インパクトはそれほど強くはありませんでした。

ふむふむ。中はどうかしら。

緩いカーブの回廊の両脇に、写真と見まがうような絵画がズラリ。
はじめは驚嘆していたのですが、
超絶技巧の写実絵画がず〜っと続くので、すごさに慣れてくる自分が可笑しい。

天井にはLEDがズラッと埋め込まれて、
キラキラ光るさまは天の川みたいでとてもきれい。
もちろんそれらは作品を照らしているのですが、
照明という目的を感じさせないデザインがニクイです。

と、ここまで書いてきて、ふと気付く。
美術館の外観写真をちゃんと撮ってない・・・。涙。


ええと、こちらを参照ください。
*ホキ美術館ウェブサイト内「建築について」*

ニョキッと出ているところが、
細長い作りのホキ美術館の裏側になります。

いかにも重そうな四角いものが柱もなく空中に突き出ている光景は、
思わず目をこすりたくなる感じ。

1階から地下2階まで展示室が続きます。
広い空間がないせいか、親密な感覚で絵を鑑賞していくことができました。

外観はガチッと硬質な建物なのに、
一歩中に入ると階段の手すりが壁から生えている蔦のようになっていたり、
丸いボール型の休憩用椅子がポコポコと配置されていたり、
柱の角を落としてあったりと、有機的なデザインがところどころにみられ、
冷たさや閉塞感のない空間でした。

建築好きの方には、ホキ美術館近くの昭和の森でのピクニックと合わせて、
遊びに行くことをおススメします♪



ホキ美術館の後ろに広がる昭和の森。
とにかく広い!
展望台からは太平洋が臨めるそうです。
とっても気持ちのよいところでした。



西日になってきて影絵のように。